もうひとつ宣伝を兼ねて。かつての研究室の先輩がたに混ぜていただいて以下の本の翻訳に携わりました。現代アメリカという歴史・地理的状況において、ラカン派精神分析の実践の地場を築こうとする著者フィンク氏の努力は、日本の臨床状況のうちにも大きく響きうるものを持っていると思います。ぜひお手にとっていただければ幸いです。
B.フィンク『精神分析技法の基礎 ラカン派臨床の実際』(椿田貴史, 中西之信, 信友建志, 上尾真道訳)、誠信書房、2012(リンク先はamazonです)
ちなみに、訳者のひとりである中西之信氏は、言語聴覚士を専門として失語症治療・リハビリに携わってこられた方ですが、このほど静岡で失語症訪問相談室を開設されました。失語症治療について私は詳しくありませんが、聴くこと、話すことの人間学的意義に焦点を当てようとする治療実践のかたちとして、大変新しいものなのではないかなと思います。サイトがあるそうですので、もしよければそちらも覗いてみてください。
失語症訪問相談室シェヴー ・ 言葉人(ことばじん)研究所
ところで私は現在パリに一時滞在していますが、言葉が自由にならないということが与える根本的な衝撃に、改めて近づいた気持ちです。異国での話せないという経験が、母国語での「話せない」という経験を改めて照らし返しているようでもあり、そんななかよくもわるくも常にDurcharbeitungしていて、なんだかパリ中が分析キャビネのように思えるときすらあります。しかしまぁ、せっかくのブログなので、もっとパリの素敵なところ、刺激的なところなんかを紹介できたらいいんでしょうけどね。来年のことを言うと鬼が笑いますが、たぶん来年も適度にこのブログは放置することになるだろうと思います。それでは、よいお年を。
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